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老齢年金の電子申請がはじまりました 2024.08.20

金融機関担当者の年金推進教室

金融機関担当者の年金推進教室資料

~年金推進における影響を考えましょう~

日本年金機構は令和6年6月3日(月)から「マイナポータルを利用した老齢年金請求書の簡易な電子申請(以下「電子申請」と省略)を開始しています。これにより、年金受給者が年金事務所に出向かなくても、スマートフォンやパソコンで老齢年金の請求手続きができるようになりました。

電子申請開始時の対象者は限定されています。ターンアラウンド形式の老齢年金請求書(緑の封筒にて送付される年金請求書の正式名称。以下「TA請求書」と省略)を送付する人のうち、以下のすべての条件に該当する人で、令和6年6月から8月生まれの対象者に電子申請の勧奨案内文書を別途送付します。

①未統合記録、未加入期間、共済加入記録がないこと

②保険料納付済期間および免除期間の合計が25年以上であること

③他年金の受給がないこと(65歳到達者で寡婦年金または遺族厚生年金受給者を除く)

また、電子申請も誕生日前日から申請可能であることは変わらず、以下のすべての条件に該当する場合に電子申請が利用できます。

①単身者であること

②繰上げや繰下げ請求をしないこと

③居所登録や後見人登録が必要ないこと

④振込先は公金受取口座を指定すること

電子申請後、住民票と居所の不一致や、単身者ではなく、別居の配偶者がいた場合、および審査の結果、修正申告が必要なときは「紙」の年金請求書での提出に変更となることもあります。

なお、令和6年6月以降にTA請求書が郵送される人には、電子申請を勧奨するリーフレットが同封、対象者を判断しやすくするため、TA請求書の「左上部」に表示コードが追加され、電子申請勧奨対象者の表示コードは当分の間、「A1‐デ」または「A5‐デ」となり、その他の表示コードは電子申請対象外となります。

ただし、電子申請による手続きは、マイナンバーカードとマイナポータルとねんきんネットの認証連携が必須となるため、受取口座は登録された公金受取口座限定となります。公金受取口座の登録を変更した場合、デジタル庁での処理に2週間程度かかるので、変更確認後に電子申請をするよう依頼しています。

さらに、令和7年3月以降、同一住所、同一世帯の法律婚の配偶者がいる人に対しても電子申請が拡大されます。

日本年金機構はスマートフォンによる電子申請は約15分で完了するとリーフレットにて説明しています。あわせてHPに電子申請の説明動画をアップしています。とはいえ、

①マイナポータルの利用者登録

②「公金受取口座」の登録

③マイナポータルとねんきんネットの連携

上記すべての条件がそろわないと電子申請ができないため、いきなり紙ベースの請求が減少することは考えにくいでしょう。もちろん、紙ベースのTA請求書は今後も送付されます。

年金は制度が複雑であり、受給にあたって事前相談はかかせません。電子申請で請求手続きはできても年金相談はできません。

しかし、徐々に電子申請が普及することも否定できません。令和7年1月からは指定替の電子申請もはじまる予定です。

今後はいかに「公金受取口座」を自身の金融機関に指定できるかが年金推進のカギとなります。意識して業務に取り組みましょう。

社労士紹介

講師紹介

農林系金融機関にて12年間、窓口職員指導、年金推進業務に携わる。
年金相談はお客様を笑顔にし、感謝されることにより、自信を持った職員へと劇的に生まれ変わる瞬間に何度も立ち会う。
平成13年度独立開業。以後、JAをはじめ金融機関の年金相談、年金研修、年金事務所の窓口相談を主な業務に活動中。
研修受講者延べ10万人超、相談者約3万人超の経験から、推進話法を組み合わせた研修に定評がある。
㈱服部年金企画宇都宮、高崎教室主任講師。

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